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2020. 11

​Case1 飛騨箪笥  シェルフキャビネット

​飛騨高山

飛騨箪笥というものは岐阜県の飛騨地方で作られた箪笥だ。当時の地元の大工が制作したものが多いので、明確な仕様や寸法の決まりがない。金具は簡素なものが殆どで、作りは様々だ。中には春慶塗りを施したものもある。

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家屋と共に壊される

全国的に問題となっている地方の高齢化や空き家問題は飛騨地方も例外ではない。家主がいなくなった家屋には家具が取り残されている。また現代の生活様式に古箪笥が似合わなくなったこともあり、使い勝手の悪い箪笥は処分の対象となっている。無垢の木で作られ趣はあるのだが、好む者は減っているようだ。

残す理由とは

飛騨箪笥をリメイクするのは、ただ捨てられていくものをレスキューしたいという気持ちだけではない。伝統工芸でもなく、精巧な作りでないものもある。が、人が懸命に作った物なら “やむ得ない” 都合で壊されて欲しくない。多くの思い出があるなら尚更だ。

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壊すことで習う

家具を分解する中で家具の構造を理解する。古い家具は今では考えられない作り方をしている。それは、今より手作業が多いからだろう。量産機械の少ない中で作られたものは温もりがある。精巧でないのところは、お弟子さんが作ったのだろうかと…それもまた味かな?作りが丁寧なところ、複雑なところ見ると、職人のこだわりが感じられる。そうしていると家具を分解しながら、昔の職人に教えられているかのようだ。

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使いたい人に届けたい。

古家具をそのままの形で使うのも良い。綺麗に使えばまだまだ壊れることはない。もし新しい形で使うなら、生まれ変わった姿も楽しんで使ってもらえたら嬉しい。そのためには、古さと新しさのどちらの良さも織り交ぜ、感じられるデザインにしたい。残すところと、削るところ、付け足すところのさじ加減が大事だろう。丁寧に直し、昔の大工がしたように真心こめて作る。するとまた次の50年使える物になる。古い家具が好きな人や親から家具を受け継いだ人、これから使い続けるその家具のカタチはこれから使う人のためのカタチで良いのだ。

古い家具、思い出の詰まった家具を永く使いたい方へ。物を大切にする活動に tirami はご協力します。

 

 

平城侑樹

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